SC Electric Guitar 2とSR5 Rock Bass 2の新しいデモ動画を公開しました。
第一弾ビデオの「SC Electric Guitar 2 Introduction」の中に曲に一部が登場する曲「Drowsy Moon」の単体バージョンです。
この曲で使用されているすべてのギターサウンドはSC2内蔵のアンプシミュレータおよびエフェクトによって作られています。様々なリアルな演奏表現とともに強力な内蔵アンプシミュレータ/エフェクト機能による多彩なギターサウンドをお聴きください。
ベースに関しても、デモで使用されている音は SR5 Rock Bass 2 の内蔵アンプシミュレータおよびエフェクトで完結した状態で鳴らしています。
以下、曲解説です。
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SC2の各パートのピックアップは以下の通りです。
バッキング:ミドル
リード: ネック
ギター音源のデモ曲らしからぬ、アンニュイな雰囲気の曲ですが、リード、バッキングともにモジュレーション系エフェクトをわりと多めにかけた音で、リードはネックの音にコーラスをやや深めにかけて広げてやるとこの曲で聴けるような矩形波のような丸いサウンドになります。リードはもちろん、裏メロなどにもいい感じで使える音だと思います。
ブリッジの音は倍音が多いので同じエフェクトをかけたりEQで調整してもこのような感じにはなりません。倍音が少なく中低域が豊かなネックならではの音です。元のプリセットは「3_Hot Solo」カテゴリ内の「Cat Solo Chorused」で、これにFlangerを追加して作っています。それと、0:32-0:35あたりでは伸ばした音をフィードバック機能を発動させてフィードバック音を鳴らしています。
アルペジオ主体のバッキングの音は、ミドルピックアップで、プリセット(スナップショット)の「3_Hot Solo」カテゴリ内の「Modulated Clean 2」を少し設定変えて使用しています。アンプのゲインを若干下げて、ディレイをOFFにしたくらいだった思います。SC2の制作ががほぼ終わり、エフェクトのプリセットを作る作業をしていた時、このプリセットを作りながらこういう曲に使いたいと思っていました。このプリセットはストラトのシングルコイル・ピックアップの音と非常に相性が良く、とても気に入っています。アルペジオは基本的にアルペジオ・キーを使って演奏しています。シングルノート(単音)のインストゥルメントでPoly modeをONにしてアルペジオ演奏をするという方法もありますが、アルペジオキーを使用する場合はコードを選択すると自動的にギターならではのボイジングでアルペジオキーにそのコードのボイジングで割り当てられるので、例えば鍵盤上でのコードの構成音はわかっていても、ギターでのボイジングがわからない場合でもギターらしい音の配列のアルペジオの演奏を容易に行うことができます。
例えば、Eメジャーコードは鍵盤でごく普通に弾く場合は、
EG#B
ですが、
ギターの 6 弦ルートのEメジャーコードのヴォイジングは、下から、
EBEG#BE
となります。
このように、必ずしもコードの構成音の音程順ではないことが多くあり、それがギターらしいボイジングであるとも言えます。
コードの選択は基本的にはインストゥルメント・セレクト・キースイッチの範囲内でコード認識機能を使ってコードを選択する形になります。現在演奏中のポジションに応じて自動的にそのポジションで演奏可能なフォームが選択されます。加えて必要であればストリング/コード・シェイプ・セレクト・キースイッチ(コード・シェイプとは「コード・フォーム」のことです)でフォームまで指定することができます。コード認識機能については先日のRock oNカンパニーさんで行ったセミナーでも言った内容についてここでももう一度触れておきます。
(ここから)
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インストゥルメント・セレクト・キー・スイッチの設定画面を見て、「あれ?コードが割り当てられてないぞ?」と思う方もいるかもしれません。コードはどうやって選択するの?割り当てられていないということは、コードは選択できないの?それとも設定を変えなきいけないの?とも思うかもしれません。しかし、心配はいりません。コードは非常に簡単に選択できます。どうやるかというと、インストゥルメント・セレクト・キー・スイッチのレンジには「コード認識機能」というものがあり、このレンジ内でコードの構成音を押さえるとそのコードが選択され演奏可能な状態になります。例えば、インストゥルメント・セレクト・キー・スイッチのレンジ内でCEGを押さえると、メジャー、「CD#G」でマイナー、「CFG」で sus4、といった具合です。2つの弦を鳴らす、エレキギター演奏には欠かせない「dyad-chord」も同様に選択可能です。ルート+5度なら 5th dyad コード、いわゆる5度コード。これをパワーコードと呼ぶ場合もありますが、Prominy ではパワーコードはルート+5度+オクターブの3音のほうを Power Chord とし、区別しています。
コードは上記の方法で選択可能ですので、初期設定のままでキースイッチの設定を変更することなく、SC2 で利用可能な奏法はすべていつでも呼び出せるようになっています。この機能は Hummingbird 以降の Prominy 製品ですでに実装されマニュアルにも記載しているて機能なのですが、気づいていない方もいるみたいなので、是非気づいていただきたいきたいと思います。大きなメリットとして、コード・インストゥルメントに関してはどのキー・スイッチにどのコードが割り当てられているかを覚えておく必要が無いということがあります。コードの押さえ方は、ギターのヴォイジングで押さえなくてはならないかというと、そんなことはありません。コードの基本的な構成音をシンプルに押さえるだけで、そのコードに見合ったギターのヴォイジングのコードが瞬時に演奏可能になります。
SC2はコードの種類のその他の奏法も数多く収録されているので、それらをすべてキースイッチにしてしまうと、鍵盤が全部キースイッチで占有されてしまい、その他の機能のキースイッチや通常演奏を行うノーマルキーなどの他のキーが無くなってしまいます。コードに関して言えば、コード認識機能により限られたキー・レンジでキースイッチを暗記することなく効率的にコードの選択が可能です。
コードを選択する際の押さえ方「コード認識コマンド」はユーザーマニュアルの181-209ページ以降に記載しています。
「コード認識コマンド」といっても要するに単にコードの構成音なんですけどね。(ユーザーコードおよびRUSHコードを除く)
同じコードでも複数のコードフォームがあります。コードフォームの指定は前述のとおりストリング/コード・シェイプ・セレクト・キースイッチで行いますが、選択可能なフォームのバリエーションおよび演奏可能な音域(鍵盤の範囲)、対応キースイッチはユーザーマニュアルの112-180ページにあります。同じコードでもコードフォームによって響きが違うのでその曲に合ったフォームを選択することが大切です。
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(ここまで)
そしてバンマスSR5 Rock Bass 2、以前公開した「Violet」同様、内蔵エフェクトのFlangerをONにし、ゆったりとメランコリックなベースラインを奏でています。この曲でもイイ仕事してくれました。Violetとこの曲は最近作った曲のベース・パート中でも特に気に入っています。ギターでもベースでもやはりフレット間を自由に行き来できるレガートスライドは絶対に欠かせないですね。SR5-2で追加されたHeavy Buzz Sustainの音は強く弾いてあえて弦のビビり音を出すものですが、ビビり成分はさておき、Heavy Buzz Sustainをスタッカートで使うとスラップのプルのような、いい感じのアクセントになります。(1:00 – 1:01)
それと、バックで控え目に鳴っているピアノは ELECTRIC GRAND PCP-80 です。この曲のコード進行はまずPCP-80を弾いて作りました。PCP-80は2003年にProminyを始めて翌年2004年にリリースしたProminyの最初の製品ですが、今でも曲のとっかかりはPCP-80で何かパラパラと弾いて作ることもあります。PCP-80はギターでいうならエレアコみたいなピアノで、アコースティック感がほどよく軽減されて曲中の他のエレクトリック楽器によく馴染みます。PCP-80もモジュレーション系のエフェクターとの相性いいですね。
大川 晃史 (AKIHITO OKAWA)
この曲のオーディオのみはこちら
このMIDIファイルおよびエフェクト色設定済みの.nkiは「登録済み製品」のページでダウンロード可能です。