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[Tips] キースイッチについての基礎知識

「キースイッチ」は、ソフトウェア/ハードウェア音源において、何らかの機能が割り当てられた鍵盤のキーの事です。その音源にどのような機能のキースイッチがあるかは音源によって異なりますが、最もよく使われるのが奏法や音色を切り替えるなどキースイッチを押した(弾いた)後、次に弾く音をどんな音で鳴らすかを「選択する」、という機能なのですが、その使い方について一部誤解をされているケースがあるようです。

Prominy製品に限らず、原則として何らかの選択を行うためのキースイッチやMIDI CC(すでに発音された音に変化を与える目的のもの以外)はその対象となる実音のMIDI情報(note-onなど)の前に置いて使用する機能です。キースイッチが実音と全く同じタイミングにあるとDAW内でどちらが先に処理されるか不確定ですので、キースイッチを反映させたい音より後で処理されて目的の音にキースイッチが反映されない場合が生じます。

インターネット上にある動画などでキースイッチと実音を同時に置いているケースがあり、それを見て誤解をされている方もいらっしゃるようなのですが、キースイッチのノートオンは本来実音のノートオンよりも前に置くものであり、キースイッチは実音の発音タイミングと同一のタイミングで使用するものではありません。(「反応しない場合は前にずらす」という性質のものではありません。最初から実音のノートオン前に置くべきものです)

キースイッチと実音のノートオンがDAW(MIDIデータ)上で同時ですと、どちらのノートオンが先かという判別を行う手段が無い状態となります。どちらが先か、というのはお使いのDAW内部でどのように処理されるかわかりません。もしDAWで実音のノートオンが先に処理されてしまった場合、キースイッチは実音のノートオンより後で押されたことになりますので、その実音は変更対象外となり、サンプリング音源の場合であれば前に選択されていた奏法のサンプルグループが選択されたままの状態となり、キースイッチの効果対象はその次にノートオンされた実音からとなります。

現在すでに鳴らしている音に何らかの効果を加えるいう特殊なキースイッチを除き、奏法やプリセットを切り替えるキースイッチは「次のはこの音を鳴らしますよ」と音源側に伝えるためのものですので、少なくとも実音よりも先にノート・オンされなくてはいけません。
「キースイッチは実音の前に置く」これがキー・スイッチの大原則です。

これらの事は何かの機能を切り替えるために使われるMIDI CCでも同じことが当てはまります。


DAWのnote-onイベントのランダマイズ(ヒューマナイズ)機能についての注意

人間が弾いたような雰囲気を出すために、DAWでnote-onのタイミングをランダマイズする機能を使用してnote-onのタイミングを一定範囲以内でずらし演奏に微妙な揺らぎを加える手法がありますが、これには注意が必要です。

DAWのこうした機能を使用するとキースイッチが意図したタイミングで発動しなくなる場合があります。(製品側の不具合ではありません。DAW側でnote-onのタイミングが変更されているために発生する現象です)

これも、キースイッチと実音を同時に置いているケース、またはほぼ同時に置いていることが原因です。繰り返しますが、キースイッチは必ず「キースイッチ → 実音」の順番で入力しなくてはいけません。

特に元の打ち込みデータそのものを変更しない「非破壊型」であるMIDIエフェクト(「MIDIモディファイア」など、DAWによって呼称は異なります)を使用している場合、データの見た目は順番通り「キースイッチ → 実音」になっているにもかかわらず、実際に演奏されるときにタイミングがランダムでずらされて「実音 → キースイッチ」になってしまい、キースイッチを効果を与えたい実音が先になってしまうためキースイッチが効かない状態になります。

このような状態にさせないためには、あらかじめランダマイズでタイミングをずらす最大幅の設定以上に、キースイッチと実音のnote-onのタイミングを空けておく必要があります。例えば、タイミングのランダマイズの幅が+/-10 ticksという設定であればキースイッチと実音の間は最低でも11 ticks以上開けておく、ということになりますが、確実なのは、もしランダマイズを行いたいのであれば、元の打ち込みデータそのものを変更するタイプ(「破壊型」)のランダマイズ機能を使い、確定した変更結果を見た目で確認し、もし「実音 → キースイッチ」に変わってしまっている部分があれば当初の順番通り「キースイッチ → 実音」になるよう修正する、というのが良いでしょう。

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